明治初期に廃寺となった菩提山神宮寺(菩提山寺)から、三河國大浜の浄土宗門徒たちによって南面山海徳寺に移された阿弥陀如来坐像は「大浜大仏」と呼ばれ、現在もなお海徳寺のご本尊として大切にお祀りされています。
私も2年ほど前に愛知県碧南市にある海徳寺を訪れたことがありますので、その時の様子をご紹介します。
海徳寺は、名鉄碧南駅から歩いて約10分の距離。十数ものお寺が甍を並べる「大浜てらまち」地区にあります。
大浜大仏(元菩提山寺本尊・阿弥陀如来坐像)は丈六仏。つまり、立ち姿の場合は一丈六尺(約5m)であり、坐像なのでその半分の八尺(約2.5m)の大きさになります。2003年(平成15年)には国の重要文化財に指定されています。
海徳寺の山門。道路工事の影響とかで、不思議な方向を向いていますが、ここから境内に入ると・・・
堂々とした本堂がそびえています。堂内は自由に拝観できるとのことだったので、お参りさせてもらいました。(無料ですが、堂内は撮影禁止です。)
阿弥陀如来坐像はこのようなお姿です。(碧南市役所ホームページから転載させていもらいました。)
高さは約2.8mもありますが、実際には台座に乗っており後部には光背もあるので4m近い高さがあり、圧倒的な存在感があります。視界の先にはほぼ胸の部分しか入らず、お顔はずっと見上げた上のほうにあります。
よく観察すると、安置されている天井の一部が外され、光背の先端部分は天井をはみ出して屋根裏にまで突き出しています。つまり、この本堂はこの阿弥陀像を安置することは想定されておらず、後になって安置されたことがよく窺えます。
この像は寄木造の漆箔で、来迎印を結び、胸には逆卍の模様があります。顔や衣文は平安時代の定朝様の特長を持ちますが、後世の補修などもあって正式な製作時期は不明とされていました。
しかし平成14年に文化庁の調査が行なわれ、像の内側に、菩提山寺を中興したとされる良仁上人が願主となって平安時代後期の保延2年(1136年)7月に造立したことを記した銘文が確認されました。国指定重要文化財となったのも、このように貴重な仏像であることが学術的に証明されたからです。
海徳寺で地元の皆さんの厚い崇敬を受けていることは喜ばしい限りで、伊勢在住の人間としても仏縁と言うのか、このご本尊が辿った数奇な運命を思うとき、不思議な感慨に打たれるのが正直なところです。
伊勢神宮に参拝されたことがある方は、ぜひ海徳寺の大浜大仏にもお参りいただきたいと思います。
伊勢神宮に参拝されたことがある方は、ぜひ海徳寺の大浜大仏にもお参りいただきたいと思います。
***関連リンク***
碧南市観光協会 碧南のみどころ 南面山海徳寺
碧南市役所 C・S碧南データBOX 木造 阿弥陀如来坐像
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